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山の酒・大雪渓の蔵元周辺の様子などお伝えいたします!


by daisekkei-tayori
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日本酒基礎講座③

③日本酒の種類について 

日本酒のカタログを見ると
「大吟醸」 からはじまり 「純米酒」「原酒」「本醸造」「生酒」…等、
様々な種類があり「大吟醸は他のお酒に比べて高いけど、どう違うの?」
思われる方も少なくないと思います。
私自身も日本酒について学ぶまでは、
価格を見て「高いんだから美味しいのかな?」というくらいの認識しかありませんでした。
そこで、日本酒の種類について少しでも実感が湧くような説明をできたらと思い、この項を設けました。
少々長いですが、興味のある方はご覧下さいませ。

③-1 特定名称酒(日本酒の分類)
③-2 生酒
③-3 にごり酒
③-4 原酒  


③-1 特定名称酒 

日本酒は原材料や造り方によって、
大きく「吟醸酒」・「純米酒」・「本醸造酒」・「普通酒」
4つに分ける ことができます。
この中でも「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」の3つは
「特定名称酒」と呼ばれています。
またそれぞれについて「米、米麹」しか用いていないもの
(醸造アルコールを添加していないもの)については「純米」の名称をつけることができます。
特定名称酒について簡単に表にまとめますと、
以下のようになります。(特定名称酒以外のものを総称して「普通酒」と呼んでいます。)

  名称              精米歩合       原材料

吟醸酒   純米大吟醸    50%以下    米、米麹(こめこうじ)
        大吟醸      50%以下    米、米麹、醸造アルコール
                           (使用白米重量の10%以下)
        純米吟醸     60%以下    米、米麹
         吟醸      60%以下    米、米麹、醸造アルコール
                           (使用白米重量の10%以下)

純米酒    特別純米酒   60%以下    米、米麹
         純米酒     70%以下    米、米麹

本醸造酒  特別本醸造   60%以下    米、米麹、醸造アルコール
                           (使用白米重量の10%以下)
         本醸造     70%以下    米、米麹、醸造アルコール
                           (使用白米重量の10%以下)



数値的な話ですので難しく感じるかもしれませんが、
以上が原材料から分類した日本酒の種類です。

次に、もう少し味わいや造り方から説明を致します。

-吟 醸 酒(ぎんじょうしゅ)-
吟醸酒は、もともとは酒造りの技術の向上・新酒の開発を目的とした、
鑑評会用の酒として生まれたものです。
特徴として 精米歩合が60%以下 であることが挙げられます。
精米歩合の項でも説明致しましたが、
60%ということはもともとの米の4割の部分を削り、
6割の部分しか使わないということになります。
これが大吟醸となると「50%以下」ですから、
半分以上削るということになります。
雑味の原因となる部分を削り取り、
米の旨味を最大限に生かす精米方法をとっているわけです。

2つめに 仕込み方法での特徴 を挙げることができます。
仕込みの温度を10度以下にしてゆっくりと低温発酵させ、
30日以上かけて丁寧に熟成させます。
こうすることにより「吟醸香(ぎんじょうか)」と呼ばれる
吟醸酒特有の フルーティな香りと味わい が醸し出されます。

一般に大吟醸や吟醸は、冬の一番寒い時期に仕込まれ、
蔵にも緊張した空気が走ります。
時間と手間、そして愛情を注いで生まれる吟醸酒は、
一度は味わう価値のある芸術品だと思います。

-純 米 酒(じゅんまいしゅ)-  
「純米酒」はその名の通り 純粋に米だけで造られたお酒のこと を指します。
ですので、醸造アルコールは一切添加されておりません。
精米歩合も70%以下と規定されているので、原料米の特性が一番よく現れるお酒とも言えます。
米本来の優しく芳醇な香り、コクのあるまろやかな味わいが特徴です。

-本 醸 造 酒(ほんじょうぞう)- 
精米歩合は純米酒と変わりませんが、
醸造アルコールを少し加えることによりライトな感覚のお酒に仕上げたものが本醸造酒です。
醸造アルコールの量は使用している白米の10%以下と定められています。
醸造アルコールを添加している…というと何となく
悪いイメージを抱かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ここで少し説明を加えさせていただきますと、
醸造アルコールとはさとうきびなどを発酵、蒸留させた
高純度のエチルアルコールのことで、
米やトウモロコシなどで作られているものもあります。
醸造アルコールは香りを調整したり、貯蔵中の腐敗を防ぐ働きを持っています。
アル添していても日本酒は他の酒類に比べると添加物が少ないお酒といえると思います。 

-生 酒(なまざけ)-
夏になると特に人気の生酒
日本酒をそれほど飲まれない方でも、一度くらいは耳にしたことがあるかとは思います。
日本酒は 貯蔵前 と 瓶詰め前 に2度、「火入れ」を行います。
「火入れ」とは加熱殺菌を指し、お酒に残っている酵素の働きを止め殺菌をします。
この火入れを1度もしていないお酒のことを「生酒」と呼び、
業界(?)では「生生(なまなま)」と呼ぶこともあります。
酵母菌が生きた、新鮮な香りと喉ごしが特徴です。
加熱殺菌をしていないため、逆に保存には充分な注意が必要となります。
きちんとした保存をしないと、瓶をよーく見ると底のほうに少しモヤがかかってきたりしてしまいます。
(これを「火落ち(ひおち)」と呼びます)
美味しく味わって頂くためにも、生酒は必ず冷蔵庫に保管し、
開栓後はなるべく早く召し上がられることをおすすめ致します。


<生詰め酒>
先に述べた「火入れ」を1度だけするお酒のことを指します。
1度目の 貯蔵前の火入れ を行い、瓶詰めのときには火入れを行いません。
「さき生」などと呼ばれています。

<生貯蔵酒>
生詰め酒と反対に 2度目の瓶詰めの際にだけ火入れを行うお酒のこと を指します。
弊社では「アルプス吟醸」がこれに当たり、やはり保存には注意が必要な商品です。
こちらは「あと生」、「生貯」などと呼ばれています。


-に ご り 酒-
発酵完了直前の「もろみ」を目の粗い布で漉したお酒をにごり酒と言います。
(ちょっと分かりにくいかもしれませんが…)
粗漉しのために、もろみの中の麹の粒などが残り、ざらっとした舌触りがします。
また、もろみは甘味が強いので、にごり酒にも甘味があります。
当蔵のにごり酒も甘辛の目安となる日本酒度で「-26」となっていて、
他の商品と比べると一つだけ飛びぬけた値になっています。
(ただし、日本酒度には甘辛だけでなく比重も関わってきますので、
「にごり」の成分がこの数値に影響を及ぼしていることも知っておいてください)
 

-原 酒-
普通、日本酒は「割水(わりみず)」と言って、
もろみをしぼったあとに水を加えてアルコール度数を調整します。
この割水をしていないお酒、つまりしぼったそのままのお酒のことを「原酒」と呼びます。
当然、調整をしていないのでアルコール度数は高くなり、
一般的には18~20度くらいのところが多いようです。
(当蔵では原酒は20度近くになっております)
コクのある腰の強い味わいが特徴で、ロックや水割り、
またその他の割り方(ライム割りやグレープフルーツ割りなど…。
けれども柑橘系は後に苦味が残りますので、
ぶどうやりんごなどの甘い系の方が個人的にはおすすめです)
でも楽しむ事ができます。
当蔵の原酒は香りが高く度数の割には飲みやすいので、
試飲会などでも評判が良い自慢の酒です。
お酒好きな方には特にオススメです。
by daisekkei-tayori | 2011-04-21 11:41